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「1%の可能性も信じる」とか言いながらいつでもどこでもハッハーンな人の日常日記(意味不明
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――――――――――――ごめん


拒否の言葉が俺の耳には届いた。
悪魔が届けた不幸の何かだろうか。
可能性なんて毎秒変化するもの。
100%が行動次第で0%になる事だってある。

俺にどのくらいの可能性があったのかは、わからない。
それはハルヒのみ知ることができる。

「そうだよな。 すまん、いきなり変な話にしてしまって」
「一つ聞くけどさ、今のって告白よねぇ?」
敗者に追い討ちをかけるのか如く、ニヤニヤするハルヒは俺を人差し指で突つく。
結構精神ダメージでかいぜ・・・?
「もう何とでも言えよ」
「何? あたしを諦めるの?」
「まぁな。 今断られたばかりだしな」
「キョン、チャンスってのはね、誰にでもあるし、いつ手にはいるかわからないもの
よ?」
「そのチャンスは今失いましたが?」
多少投げやりになった俺。
「バカね、あんたは、たった一回で諦めるような器?」
「さぁな」
「あたしが好き? 大切? 守りたい?」
振った相手をいたぶる趣味があるのかコイツは。
「好きじゃない、大切じゃない、守りたくないな」
もちろん嘘に決まってる。
諦めれるはずが無かった。
「そっ、あたしは嘘が嫌いよ」
「もうどうでもいいさ」
完全に俺の脳は思考を鈍らせたらしい。
「ねぇ・・・ キョン。 最後に聞くわ」
「なんだ」
俺がハルヒのいる方に振り返った。
互いに見つめあう状態になってしまった。
視線を外せるわけがない空気。
「あたしの事、諦められない?」


決定打。
ハルヒは俺に最後の架け橋をくれた。
どうアガイテも渡る勇気が無かったボロ橋を。
ハルヒは後ろから強制的に進ませた。




「諦められない」






「そっか」

















「で、なんだ?」
『そっか』の後、ずっと笑顔のままハルヒは黙りこんだ。

「『ごめん』の後の続き教えてあげるわ」
「続き?」
続きって・・・
まさか、こいつはまだ俺をいたぶり足りないのか?
もう耳塞いでやろうかな。
これで『あんたの事なんてこれっぽっちも考えてないわ。もしかしてあたしがあんたに気
があるとでも思った?バカじゃないの?あんたは雑用、あたしは団長。悪いけど付き合う
には格が違いすぎるわ。あたしはあんたが“嫌い“だし』
ここまで言われたらショックがデカすぎて自決するかもな。
まぁハルヒの事だから俺を最後の最後までいたぶり続けるだろうがな。




ゆっくり開いたハルヒの口からは

「ごめん。 この状況で告白するバカの話なんて聞く気は無いわ。 だからもし皆の所に戻
れたら、皆の前で大声でこう言いなさい、『俺はハルヒが大好きだ』って。 そうした
ら、あたしも、あたしの気持を全部伝えてあげるわよ」


架け橋は永遠に延び続け、崩れる可能性が低かった。

俺。 キョンという存在。
ハルヒを愛し続ける事ができるか?


答えを今出す必要は無い。
タイムリミットまで、まだまだ沢山の時間があるのだから。

「さっ、この話は終わり。 お腹減ったでしょ? 飛びっきりのご飯作ってあげるわ」

ハルヒは鼻唄を奏でながらキッチンに向かった。
満面の笑みで、妙なステップを踏みながら。










思い返せば。
今俺は、ハルヒに告白してしまった・・・?
ハッキリと、面と向かって。

ハルヒは受け止めてくれたのか・・・?
確にこんな状況で告白するほど余裕は無い。
しかしムードは、あったよな・・・
今思えば恥ずかしすぎる。
俺にとって人生初の告白だ

しかも相手はあの凉宮ハルヒ。
初めて出会った時と比べれば、俺もハルヒも大分変わった。
俺は今のハルヒが好きなんだ。


「キョン、ちょっと手伝って!」
「あぁ」
俺は大切な人の声を辿り、キッチンに向かった。








「なぁハルヒ? やっぱり無理だ」
「何よ、あんたから行ったんでしょ?」
「いや、そりゃそうだが・・・ やっぱりハルヒの方が上手いだろ?」
「いいからやりなさい!」

俺の右手に握らされた刃物。
綺麗に研かれており、新品同様な感じだ。
「じゃぁそれの皮剥いて。 全部よ全部」
目の前のまな板にゴロゴロと転がるジャガイモ。
俺に切られるために遠いところからご苦労様。
出来る限り最善を尽して調理しますので、どうか俺に才能をください。
「じゃがいも神?」
隣でハルヒがボソッと呟いた。
振り向いて見ると、ハルヒは溜息をついて呆れ顔だった。

隣にいるハルヒは炒めものを作っているようだ。
フラっぺだっけか? フライパンからボゥッ!と火が吹き出すやつだ。
「ハルヒ、皮剥くのにまな板って使うのか?」
俺の想像では普通に皮は切り落としてダストボックスへ、って感じなのが。

ハルヒはピクリと止まった。

「今なんて・・・?」
「いや、まな板・・・」
フラっぺの火が少しずつおさまっていた。
ハルヒは自分の体を見下ろしていた。

「やっぱりあたしはキョンに合わないって事よね・・・」
「はぁ!?」
また意味不明な事を・・・
ハルヒは何故か目がうるんでいる。
「だってまな板だと思ってるんでしょ・・・? 結構自信あったんだけど・・・」
なるほど、ハルヒ流では皮剥きにまな板は必須なんだな。
ならばハルヒの言う通りにしよう。
「い、いや、やっぱり、あるほうがいいよな」















「うわぁぁん、バカアアアアァァァッッッ!!!」













パシィィィィンッッ!!という爽快な音と共に俺の頬は深紅にそまった。



















泣き崩れたハルヒを説得する事約三十分。
ソファーに縮こまった状態のままのハルヒを直すのに数分。

「うぅぅ・・・ えっぐぅ・・・」
「だから違うんだって・・・」
「やっぱりキョンは・・・ぅぅぁ・・・大きい方が好きなんでしょ!? えっぐぅ・・
・」

ハルヒはフラっぺの音で俺の声がよくわからなかったらしい。
『ハルヒを剥かせたけどまな板だったな』
と認識したらしい。
これじゃぁ俺は変態じゃねぇか。
しかもハルヒはまだ納得しないようで
「もうみくるちゃんの所に行っちゃいなさいよバカキョン!!!」
とりあえずハルヒの肩に手を添えても、
「触らないでよ!!!」
パシッと弾かれる。

「どうせあたしは小さいわよ! 貧乳ですよー、だ!! うあぁぁぁん・・・」











更に説得する事20分。

「ぅぅ、えっぐぅ・・・」
水分をどれだけ消費しているのだろうか。
もう一時間近く泣いてるぞ。
「本当にスマン。 そうじゃないんだ。」
「お目が高いですね!バカキョンは! ぁぁぁぁぁぁん!!」
既に触ることすら許されなくなってしまった。
「なあハルヒ」
「喋るなバカキョン!! もうあんたなんて嫌いよ! 最低!」
「聞いてくれ」
「聞かない! あぁぁぁぁん・・・!!」
顔を伏せて再び泣き始めた。
どうにもならないぞこりゃ・・・
「ハルヒは胸は大きい方だ。 さすがに巨乳とまではいかないが、普通にいいと思うぞ」
ただの変態の発言になってしまった。
何を言ってるんだ俺は・・・
「同情なんてしてほしくないわよ!! 小さいものは小さいのよ!」
どんなものにも方法は別として変化はあるものだ。
大きさ、形、色、匂い、味。
この世の全ては必ず変化はする。
「お前が小さいと思うなら大きくする努力をすればいいじゃないか」
俺は何故か真面目な顔で応えてやった。
「どうやってするのよ!?」
「それは・・・」
方法は別として、なんて言えなかった。
俺から言い出した事なんだから責任を取らなきゃいけないんだよな・・・
「も、揉むとか・・・」
口から予想以上にかなりの小声で呟いた発言には若干、危険な行為にはしることになって
しまう。
「何!?何か言った!?」

ハルヒにはなんとか聞こえなかったようだが・・・


どうする、俺。
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「キョン、起きてったら」
頭の中に広がるエコーのかかった声。

昨夜はウッドハウスで共に過ごしたハルヒの事を考えてたら一時間強経過していた。
つまりあまり眠れなかった。

やっと夢の世界に入れた、と思えば・・・

「起きなさいよ。 キョーンー」
もうハルヒから呼び戻しがきたようだ。
夢を見た記憶も無い。
休息を得た記憶も無い。

不満はあったが朝ならばしょうがない。
遭難しているんだ俺たちは。
少しでも早く皆の所に戻らなければ。

少しずつ瞼を上げたら、もの凄い光が網膜に写った。

「早くしないと遅刻するわよ」

視界がまだ慣れていないためか光のせいで目が痛い。
晴れたのか・・・?この光からして快晴だな。

それよりハルヒは今なんて言った?
『遅刻』
いや、待て。
学校? そんなわけないだろ。
今俺とハルヒは遭難中だぜ?

「ほら、しゃきっとしなきゃ!」
「待てよハルヒ」

ちょっとづつ視界が慣れる。

「ハルッ・・・!!!」

一瞬だけ確実にハルヒの姿が見えた。

ハルヒと信じられない姿。
かなり大人っぽくて、髪が腰辺りまで伸びていて、そしてポニーテール。
正直綺麗だった。
吸い込まれそうなぐらいギンギンと光らせる黒い瞳。

そして何より、幸せそうな笑顔。




しかし、そんなハルヒの姿は一瞬で光に包まれた。
今では何も見えない。

俺がどこにいたのか・・・
何故遅刻なのか。
まったくわからない。

脳裏に焼き付いたハルヒの姿しか覚えていない。

「あたしだけ先に行くわよ」
ハルヒの声だけしか聞こえない。

何故・・・
ハルヒ、何故。 何故行ってしまうんだ・・・
なぁ、まだやる事はいっぱいあるだろ?

なぁ、ハルヒ・・・


一緒に過ごす日々はまだ足りないだろ・・・?
















「バチッ・・・ バチバチッ・・・」


暖炉から燃える火の音で元の世界に俺は戻った。
数時間経過しているのに暖炉の火は燃え尽きなかった。
不思議と体が楽で、普通に体も動かせる。
これもハルヒが望んだから、だろうか・・・?
夢だったのか。

何故かハルヒが何処かに行ってしまうんだ気がした。

「キョン、起きるの遅いわよ」
「ハルヒ・・・」
「朝から暗い顔ね」
「安心した」
「何がよ?」
「何でも無い」
むすっとしたような不満気なハルヒ。
そして何かを思い出したかのように
「キョン! これどういう事!?」
「これとわ?」
「何でこんな状況になってるのよ!」
「ん、風邪引いてもらったら困るからな」
「だからって・・・ 変態! 違うわ、変態とかはどうでもいいのよ!!」
意味が分からなかった。
変態といいながら変態はどうでもいいのか。
痴漢とかされたら許可すんのか?
いや、ハルヒに痴漢するような奴がいるならば絶対ぶん殴ってやる。
「なんであんたは毛布着てないの!」

今の状況にというのは、
この家に存在していた二枚の毛布をハルヒに巻き付けてその上から俺が抱き締めるという
何とも恥ずかしい事だった。
しかしこれなら温かい。
ハルヒも風邪を引くことは無いだろう、と俺は考えた。

「俺は別にいいからな。 へっくしゅんっ!」
代償として俺が風邪を引いたようだ。
いや、別にいいんだよな。
「っ!! バカキョン! あたしのためにやったなら大迷惑よ! こんなの嬉しくないわ
よ!!」
「お前のため・・・ いや俺のためでもあるぞ」
「あんたのため!?意味わからない! 何でよ・・・! 意味わからない!!」
「えっ、ハルヒ・・・?」
「わからない・・・ 意味わからないわよ・・・!!」
毛布にハルヒから出た透明な滴が落ちていった。
染みの広がりが次々と出来ていく。
「オイッ、大丈夫か!?」
「バカ、バカバカバカ・・・ なんでよ・・・」
「すまん、言ってる意味がわからない」
「あんたが風邪引くなら、あたしが風邪引いた方がマシよ!」
「逆だ逆」
「何のためにこんな事したの!?」
よくわからない。
風邪だけでココまで怒鳴るハルヒ・・・
何のために、だと?
「・・・」
『大切な人だから』
言えるはずが無かった。
言っても意味が無い気がした。
「もう離して・・・」
「怒らせちまったか・・・? すまんな」
「いい、大丈夫。 ちょっと一人にしてほしい・・・」
想定外過ぎた。
昨夜はあんな可愛い寝顔が一変して崩れた。
外は未だに暴雪。 外に出れるような天候では無かった。
俺はとりあえずハルヒから離れた。
ハルヒは肩が震えていた・・・ 涙もボロボロと流しながら。










俺の頭の中には『後悔』の言葉だけが残っていた。
とにかく暖かい飲み物を、と思ったが、ポットの前に立っていても手は動かず思考回路の
みが動いていた。
ハルヒがどうして怒鳴ったのか。
理由・・・
下心なんて無い、と言えば嘘になるが、ハルヒ相手にそんな挑戦状を叩き付ける事など俺
にはできない。

そして俺は何故こんなにハルヒを心配するのか。
理由は一つしかない。
『好きだから』なんてもんじゃない。



『大切な人だから』











「ほら、寒いだろ。 飲んだ方がいいぞ」
俺はハルヒにコーヒーの入ったマグカップを渡しに行った。
「うん、ありがと」
無愛想にハルヒは答えたが、しっかりとマグカップを掴んでくれた。
「ごめんね。 さっきは怒鳴っちゃって・・・」
予想以上に復帰るのが早いな。
「気にするな。 俺が悪かったんだ」
「違うわよ。悪いなんて思ってなかった・・・」
「よくわかんない奴だな」
久々に笑いが出た。
何が面白いのかわからないが笑いが込みあげてきた。
「わ、笑うな! 何よバカ!」
怒りながらもハルヒはコーヒーを飲み始めた。
「ちょっと苦くない・・・?」
「そうか?」
「うん、苦いわよ。 こういう時は究極まで甘くするのが定番でしょ?」
どっからの知識をこいつは俺に披露しているのか。
大体究極な甘さってなんだ。
「俺は基礎知識が欠けてるからな」
「ふふふっ、ほらあんたも座りなさいよ」
「ん、あぁ」

言われた通り俺はハルヒの隣に座った。
一応少しだけ距離をとってな。


「むっ・・・」
不機嫌そうなハルヒの声を察知した俺は更にハルヒから距離をとった。
「・・・」
ハルヒの不機嫌オーラは完全に感知出来た。
もっと離れろってか・・・?
「なんで遠ざかるのよ!」
突然ハルヒが怒鳴った。
「だって嫌なんだろ!?」
「もう動かないで」
「え? うん? なんでだ? ・・・っっ!!」

既にソファーのはしっこに追い詰められいた俺。
更に追い討ちをかけるようにハルヒは近付いてきた。
なんだ?ソファーから落としたいのか?
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」

なんとも言えない空気だった。
空間が沈黙していた。
世界が氷ついていた。
「・・・なぁ」
「・・・」

「・・・」
沈黙に圧し殺された。


ハルヒは静かに俺に密着していた。
俺の肩に頭を乗せて、良くわからないが幸せな感じだった。
カチコチな俺。
恥ずかしさも、驚きも、嬉しさもあった。
ハルヒはずっと笑顔が崩れなかった。

「ハルヒさ・・・ん・・・?」
「キョン、ありがと」
「へ?」
気の抜けた生返事が出てしまった。
それほどハルヒの感謝の言葉には驚かされた。

――――――――――ありがと。

感謝・・・
「何に対しての感謝だ?」
「珈琲よ!」
「あぁ、なるほどね」
本の少し、期待があったが、やはり確率としては低すぎた。
しかしハルヒは言葉をはっしてから後悔するようにソッポ向いた。



「救助隊とかまだ現れないか・・・」
「救助・・・?」
微妙にハルヒは疑問形だった。
「早く皆の所に帰りたいよな」
「え・・・?」
再びハルヒは疑問形だった。

「あ、うん・・・ そうよね・・・」
「どうした?」
「別に・・・」


ハルヒの表情が曇っていた。
何かを言いたそうだが・・・

「やっぱり・・・」
「ん?」
「キョンはあたしじゃダメだもんね・・・」
「は?」

ハルヒじゃダメ?

「みくるちゃんか有希の方が合ってるもの」
「じゃぁ逆に聞いてやる。 俺はお前を選んだらダメか?」
俺の中で目覚めた一つの決心。
「え? 何それ? どういう意味・・・?」
「言葉の通りだ」
俺は人生最大の挑戦をしている。
「そっか・・・ これも夢なんだ」
儚く散ったムード。
溜息が漏れそうになったが必死に我慢した。






いきなり頭が悪くなったのかコイツは。
俺の大切な人『凉宮ハルヒ』。
選べるなら選びたい。
ただハルヒは隠しキャラのように俺には選べる資格が無い。
「キョンが・・・? 誰を・・・?」
「凉宮ハルヒを」
「嘘・・・ 夢・・・?」
「現実だ」
「待って、待って、待って」
ハルヒは俺の肩から頭を離し、持っていたマグカップを俺に手渡して考え込んでいる。
「ハルヒ・・・?あたしよね・・・?」
よくわからない奴だ。
「キョン・・・が? なんで、何のために?」
大切な人だからかな。
「でも・・・ あたしは・・・」



「いや、無理はしなくていい。 思ったことだけ言ってくれ」

ハルヒはコクッと頷いてから、ゆっくりと此方に振り返った。
綺麗な黒い瞳を輝かせ。
ハルヒも決心したかのような顔付きで、口を開いた。












「ごめん」




何故かハルヒは頬を紅色に染めて、そっぽ向いてしまった。

「はっくしゅんっっ!!!」

毛布が装備欄から外れたら、すぐにくしゃみが出た。
寒すぎるな・・・ 毛布が無いだけでこうも変わるのか。

「やっぱあんた寒いんじゃない」
「寒くねえよ」
「鼻水たれてるわよ」

急いで鼻の下を探ってみたが何もなし・・・

「嘘かよ・・・」
「しょうがないわね」

毛布を這おったバスタオル一枚のハルヒがこちらに向かってきた。
なんだ?

「ぶぉっっ!?」

ハルヒは俺の隣に座って毛布を広げて寄り添ってきた。
毛布は俺とハルヒを這おい、かなり密着している。
肩ら辺には異様な柔らかい感触が当たり、男の本能が目覚めそうだった。
更にハルヒは頭を俺の肩に乗っけているので、ハルヒの吐息の音まで聞こえる。
こいつには恥ずかしいという感情が無いのか・・・?

「ハルヒ、お前いいのか?」
「何が?」
「俺なんかと密着して・・・」
「風邪なんか引いてもらったら、あたしが困るからね」
「だけど・・・」
「うるさいわよっ」

何よりハルヒの機嫌が良いのが気になる。
いつもより声が弾んでおり、本当に小さな鼻唄が聞こえる。

「あんた結構体温高いわね」
「そうかい」
「もっと近寄りなさいよ! 毛布からはみ出るじゃない!」
「これ以上は・・・  ってオイッ!!」

更にハルヒは俺の腰に手を回して完全に抱きついたような感じになっていた。
男女がこんな状態におかれたなば、どうなるか。
恋愛小説とかならば、ここから甘いシーンに入るのだろうが、俺にはできない。
相手はハルヒだぜ?少しでも変なことをすれば殺されるかもしれない。

「誤解しないでよ!?寒いから仕方なくよ?」
「へいへい」

しかしここまで女性と密着したのは初めてだ。
さすがに妹でもこんなにくっつかない。
断じてシスコンではないからな。

「眠いわね・・・」
「さすがにその姿で寝るのはまずいだろ」
「なんとかなるわよ。 キョン動かないでね」
「何でだよ・・・」
「毛布がズレルから!」

漫画やドラマならば
『動かないで目をつむってくれ』
とか良く聞くんだが現実は厳しいな。
まぁハルヒだし、しょうがないと言えばしょうがないがな・・・

そういえばハルヒと二人っきりになるなんて久しぶりだな。
最近は団活多くて市内探索の回数も増えてきてやがる。
しかし、いくら市内探索をしようが俺とハルヒが同じ班になることは無い。

「なぁハルヒ、正直なところ誰か好きなひ・・・」
「スー スー スー・・・」

いつの間にか隣でハルヒは寝ているようだ。
いつもじゃあんなハルヒだが、今は凄く可愛い寝顔をしてやがる。
こんな状況なのに、無防備で・・・
俺のストッパーが効かなかったら確実に襲ってたな。
しかし・・・ なんて幸せそうな寝顔だ。
写真ぐらい撮っとくか。





助けが来ずとも、ハルヒが望めば一生は暮らしてゆける。
俺と・・・ハルヒが・・・二人で・・・
ずっとここで・・・







「いかんいかん」
寒さのせいか気が保たれない。
俺も疲れてるのかな・・・
早めに寝よう。




「二人で・・・」






次第に暖まる部屋のど真ん中のソファーで、ゆったりと眠る女性。
俺はどうやらかなり気になるようだ。
一生、二人で生活・・・ 悪くは無い。
最高か、と言われれば最高まではいかない。
だけど・・・



「ハルヒ・・・」








何故俺は今ハルヒをマジマジと見ているんだ・・・?
わからない。 わからない。

視線が勝手にハルヒの方向にいってしまう。

なんでだろう。
ハルヒ以外が全て真っ白になっている。
ハルヒにしか色が無い。





大切なんだろ・・・か・・・?

大切・・・

なら、やる事あるよな。

大切な人を傷付けたくない・・・よな。

助けないと。

俺が引金となってハルヒを巻き込んでしまった。

俺は、ハルヒが、

『大切』なんだもんな。

絶対に救ってやる。
命の恩人のために。


「痛いところとか無い?」
「そこらじゅう痛いぜ・・・」
「あんな派手な転がり方したら怪我してない方が異常よ」

人生であんな転がり方をする事は二度と無いかもしれない。
今も歩くだけでそこそこ痛みが走るが耐えれないほどでは無い。
ハルヒだって一生懸命俺を運んでくれてるんだ。 俺だけ弱音を吐くなんて男として許せ
ないよな。
とりあえず早くホテルに戻って暖かい飲み物でも欲しい。

「あれ・・・?」
「どうした?」
「こっちから来たはずなんだけど・・・」

となるとなんだ?迷子って言いたいのか?

「まぁそうね・・・」

ハルヒでも迷子になる事ぐらいあるんだな・・・

いや、そんな余裕は無い。
このまま歩き続ければ俺は間違えなく死ぬ。
もしかしたらハルヒまで道連れにするかめしれない。

「ハルヒ、俺は置いてっていいからお前は戻れ」
「何かっこつけてんのよ。 あたしは団員を見捨てたりはしないわよ」

俺よりハルヒの方が数倍かっこよく感じるぜ・・・

「あら? 何かしらあの光・・・」

力を振り絞って顔を上げた。
雪のせいでハッキリはわからないが、ポツンと光が見える。

「きっと家よ! 雪が止むまで泊めてもらいましょう!」
「迷惑だろ・・・」
「じゃぁ何? 死にたいの?」
「勘弁・・・」

ハルヒの速度は上昇して俺は引きづられる感じになってきている。








「すいませーん、誰かいませんかー?」

ハルヒはトビラをノックして呼び掛けるが反応はまったく無し。
この家は普通のサイズだが、なかなか外身が新しい感じがした。

「あら、開いてるじゃない」

もうツッコミ入れてる余裕も無いのでハルヒの従うままにしよう。

「おじゃまします」

玄関から土足のまま入れるっぽくて、中に入るとすぐにリビングが広がっていた。
暖炉には既に火がともっており、近くに三人ぐらい座れそうなソファーが置いてある。

「誰かいたのかしら?」
「さぁな」

人の気配はまったく無い。
メラメラと燃え上がる火だけが音を出していた。

「とりあえずキョンはソファーに座ってなさい。 暖かい飲み物持ってってあげるから」
「お言葉に甘えさせてもらうよ」

俺は指示された通りにソファーに座り、近くにあった毛布を体に巻いた。
まだガタガタと震えやがる・・・

「キョン! すごいわよ! 冷蔵庫の中身がギッシリ!」

なんか去年もそんな感じだった事ないか?
ハルヒはどうやら片っ端から部屋を調べ始めているようだ。

「お風呂まであるわよ!」
「それよりハルヒ、暖かい飲み物・・・」
「あっ、ごめんごめん」

なんだかよくわからないがハルヒはハシャイでおり、楽しそうだった。
こんな状況でよく楽しめるよな・・・

「今から作ってあげるからちょっと待ちなさい」

台所もリビングと繋がっているようでハルヒの姿がよく見える。








「はいこれ」
「ん、ありがとな」

ハルヒに手渡されたマグカップには紅茶と思われる飲み物が入っていた。

「ちゃんと糖分とりなさいよ?」
「あぁ」

暖かいマグカップを触ってるだけで落ち着く・・・
糖分取れ、ということはこの紅茶は相当甘いんだろうな。

「これからどうするかな・・・」
「きっとすぐに救助隊が来るわよ」

確に可能性としてはありえるが・・・

「へっくしょん!」

目の前で仁王立ちしていたハルヒは、くしゃみと同時にソファーに座り込んだ。

「寒いわねぇ・・・」
「これ使っていいぞ」

自分に巻かれていた毛布を取りハルヒにかけてやった。
別に俺はいいんだよ風邪引いたりしても。
しかし俺のせいで他の人に迷惑をかけるのが許せないだけだ。

「あたしは大丈夫だから、あんたが使いなさいよ」
「いいから使え。 探せば毛布ぐらいあるはずだ」
「あたしが探しにいくからあんたは座ってなさい!」
「団長ならしたっぱに雑用ぐらいさせるだろ」
「これは命令よキョン。 あんたは座ってなさい」
「熱っっ」

ごちゃごちゃ言ってる間に紅茶は揺れて俺の皮膚に着地した。

「バカね!」

ハルヒは声を出すと同時にソファーから立ち上がり違う部屋へ行ってしまった。
紅茶が溢れるようなハプニングなんて想像出来ないぜ・・・











「一応毛布が一枚あったけど・・・」

ハルヒはすぐに部屋から出てきた。
けど、なんだ?

「この家、何故か寝床が無いわ・・・」
「今何時だ?」
「わからないわよ。 時計も無いし携帯も無いしテレビさえ無いわよ・・・」

時間はいつでもいいが寝床が無いのは困るな。
暖炉があるだけまだ部屋は暖かいが火が消えれば多分死ぬほど寒くなるであろう。

「ハルヒ、とりあえず立ちっぱなしよりは座れ」
「うん・・・」

なかなか弱気なハルヒからはギャップが感じられて可愛いような気がしたが、それはつか
の間。

「キョン、お腹空いたから何か作って・・・」
「それはお前の仕事だろ・・・」

料理ってのは女性がやるのが基本なわけで、男なんて手伝いぐらいしか出来ん。
中には料理が上手い男だっているかもしれんが、俺にはほど遠く縁のないことだ。

「冷蔵庫の中身勝手に使っていいわよね?」

まぁいいと思うぞ。

「じゃぁあんたに手作り料理をご馳走してあげるわ!!」
「ほぉー」

ハルヒの手作り料理か。
まぁこいつはなんでもやりこなすやつだから、多分料理も上手いんだろうな。

















「出来たわよ!!!」

意識が半分飛びかけていたところでハルヒの手作り料理が完成したようだ。

「すげぇな」
「でしょぅ? あんたが初めてあたしの手作り料理を試食出来るんだから感謝しなさ
い!」

ソファーの前の机の上に並ぶ大量のおかずたち。
どれも完成度は高く、美味しそうな匂いが部屋に充満していた。

「じゃあいただくぞ」













「ごちそうさまでした」

ハルヒの手料理は言うまでもなく凄く美味かった。
腹がへっていたのか、俺は二人前ぐらいを食ってしまった。

「あんたよく食べたわね・・・」
「まあな。 腹減ってたし美味かったぞ」
「ふふふ。 これだけ豪快に食べてくれたら作ったこっちも嬉しいわ」

嬉しそうに笑うハルヒは性格しらなければ一瞬で惚れてしまいそうなものだった。

「性格さえよければな・・・」
「何? なんか言った?」
「なんにも言っとらん」

ボソッと呟いてしまった。
幸いハルヒには聞かれてなかったようだけどな。

「次はお風呂ね」
「俺がお湯いれてこようか?」
「あんた今自力で歩けないでしょ?」
「いや・・・ そんなことないぜ・・・」
「じゃあそこで伸脚してみて」
「それはキツイな・・・」
「ほら、あんたは暖まってなさい」
「スマンな、迷惑ばっかりかけて」
「あんたらしくないわね。 あたしに任せなさい」

実際数ヵ所骨が折れていると思うので動けない・・・
今でもこんなに楽なのが不思議なぐらいだ。
もしも倒れたりしたら起き上がることは出来なさそうだ。

「じゃぁお湯いれてくるわね」
「あぁ、ありがとな」

ハルヒはニコッと笑ってから風呂場へて向かっていった。
なかなか可愛いと思ってしまった・・・
まだ早まるなよ俺・・・
今後の事までよく考えてから行動するべきだな。


















「キョン、お湯はいったから先入る?」
「普通、女性から入りたがるものじゃないか?」
「面倒事は嫌いよ」
「先に入ってきていいぞ」
「まぁ今あんた動けそうに無いし冷めないうちに入ってくるわね」
「あぁ」

ハルヒは着替の服も持たずに風呂場へと向かっていった。
バスタオルぐらいなら有りそうだが、さすがに着替のパジャマは無いだろ・・・
さすがにスキーウェアーで寝るわけにもいかないだろう。
何か策があるのだろうか?



なんてな、どうせここもハルヒが望んで建った家だろうしな。
ハルヒが望めばどんだけ高級な服でも一瞬で手に入るしな。
しかし俺がここに招かれた理由はなんだ?
道連れとか言った日にはマジギレするぞ。
『あ、う、うん・・・ 寂しいから・・・』
なんて言うならば俺は一生ハルヒを守りたくなってしまうかもしれん。
しかしハルヒの事だ
『団員が団長に引率するぐらい当たり前でしょ!?』
とか言いそうだな。
突然ハルヒが
『キョン・・・ あたし実はね・・・ キョンが好きなの・・・』
と、言い出したらどうするか。
外形超美人な文武両道なスーパーウーマンだ。
ここまでなら全てokなのだが・・・

というより妄想は大概にしろ俺。
ハルヒがそんなに素直な感情を表すはずないだろ。
というか俺が好きなわけないだろ。

堕ちるところまで堕ちた感じだな。









「いってえぇっっっ!!!!!」





急に右腕に強烈な激痛が走った。
先ほどまでは痛みなど毛ほども感じなかったがいきなり傷口が裂けるかのような痛みだ。
右腕から流れるストロベリージュース、もとい血はポタポタと床に流れ落ちている。

「くっそっ・・・」

傷口からこんなに血が!?って感じで流血している。

「いってえぇっ!!」

次はソファーから立ち上がろうとしたら骨が軋みはじめた。
肋の辺りがいてぇ・・・

「ガシャンッ! バタンッ! ダッダッダッ!」

何かが近付いてくる音がする。
まぁ一人ぐらいしかいないだろうがな。

「キョンどうしたの!?」
「っっっう!!!」

一瞬、痛みが全て消え失せた。

「ハルヒ・・・? 何か先にやること無いか・・・?」
「無いわよ! あんた血が凄いじゃないの・・・」
「お、おいっ、ちょい待て!!!」
「うっさいわよ! 叫ぶと傷口が広がるわよ!」
「傷口より精神力が消え失せる!」
「はぁ? ・・・あ、なるほどねぇ。 何? 興奮してんの?」
「頼むから服着ろ!!」
「バスタオル一枚巻けば充分じゃない」
「充分じゃねぇ!!!」

そう、今ハルヒはバスタオル一枚巻いただけの本来男の前ならとても恥ずかしい状態なの
だ!
お前には乙女心というやつが無いのか・・・?

「医療箱とかあるかしら・・・」

ハルヒはバスタオル一枚状態で他の部屋に入っていった。
その間も腕の傷口からは血がドクドクと流れていく。

「有ったわ!」

ハルヒが高らかに声をあげた。
どうやら医療箱がみつかったらしい。

「ちょっと見せて」

俺は右腕をハルヒに差し出した。
ハルヒは「うわぁ・・・」と引くような声を出していたが相当エグいらしい。
だけどこいつは必死になって治療してくれる。
なんで俺なんかのために・・・

「とりあえず右腕の止血はいいかな」

俺がハルヒを巻き込んだのに、なぜ楽にソファーで座ってるんだ?

「どうしたの? 顔色悪いわよ」

ハルヒが来なければ確実に俺は死んでいた。
となるとコイツが俺の命の恩人になるということだ。

「キョン!!!!!!」
「んっ・・・」

両方をガシッとハルヒに捕まれて軽く体をゆすぶらされていた。

「あんた大丈夫・・・? 今意識が無かったわよ・・・」
「あぁ、大丈夫だ」
「ならいいけど・・・ あんまり無理しないでよ?」
「あぁ、それより服着ないか?」
「服・・・無いのよ・・・」
「嘘だろ・・・?」
「スキーウェアーはベタベタになってるし・・・」
「毛布二つとも使え! 湯冷めしちまう!」
「一つでいいわよ」
「駄目だ! ハルヒ、お前に命令だ」
「団員の分際でめいれ・・・」
「毛布二枚這おって暖炉の前に行け」
「一枚!」
「二枚だ!!」

ソファーに座ったまま毛布を二枚ともハルヒに投げつけてやった。
そして毛布は、ちょうど顔面に直撃した。

「いったぁー・・・」
「スキーウェアーが乾くまでそれ着てろ」
「次喋ったら殺すわよ!!」
「お前に命を救われた身だ。 この体はお前のものみたいな感じだ」
「へ?」

ハルヒが目を全開させて硬直した。
口開いてるぞ・・・

「あたしの・・・?」
「変な意味は無いぞ!」
「え、あっ、わかってるわよそんな事!!」

犯罪、犯罪、犯罪・・・ と最近の新聞といったら犯罪の事ばかりだ。
別に政治に興味があるわけでは無いのだが。
今日の新聞の注目点は天気予報だ。

「どうキョン?」

「全然大丈夫だな」

ガタンゴトンと揺れる機械の箱に乗りながら本日の目的地に向かっていた。
一番後部席に乗る俺は、ハルヒに天気予報の確認を取らされて持参した新聞を確認してい
た。

「ならば本日はスキー日和という事ですか?」

「だな」

「やっぱりあたしは天気をも操れる能力を持ってるのよ!」

古泉の笑顔が一瞬だけ消えた。
ハルヒよ、頼むから面倒事だけは起こさないでくれよ。

「あっはっはっはっは! ハルにゃんなら出来そうだね!!」


本日のスキー企画の企画者は、またもや鶴屋さん。
どうやら鶴屋家がパーティを行うらしく俺たちSOS団はお呼ばれしたわけだ。
毎度毎度呼ばれるのは嬉しい限りなんですが・・・
毎度毎度ハルヒにより面倒事が起きるんだよなぁ・・・

「ハルにゃんの番だにょろ!」

「皆戦略が下手なのよ!! これで終りよ!」

前の席の女性たちは椅子を動かして四人で大富豪をしている。

「ハイ、あーがりっ!」

どうやらハルヒは大富豪になったようだ。
長門は遠慮したのか?

「大貧民は罰ゲームよ!!」

「・・・上がり」

どうやら長門が富豪のようだ。

「あっはっはー、上がっちゃったよっ!!」

「上がりですー」


鶴屋さん、朝比奈さんと続き上がったようだ。
なんだこの違和感・・・
ハルヒ、長門、鶴屋さん、朝比奈さん。

四人で大富豪・・・
四人とも上がり・・・?

座敷わらしでもおるのか?

「大貧民は大富豪の命令に従うのよ!」

「ハルヒ? 今四人とも上がらなかったか?」

貧民が決定した時点で大貧民は決定しているのは常識だ。
それ以降はやる必要も無いだろうしな。

「あたしたちは上がったわよ?」

「誰が大貧民なんだ?」

新聞の『常識を覆す事実発覚!』という欄に悔い付けになっていた。
そこにはハルヒが昨日
『冬場に桜が咲いたら綺麗だと思わない? 雪桜みたいな感じよ!』
雪桜ってなんなのかは、さっぱりわからないが新聞の記事には
『昨夜は枯れ木で確認した桜の木が一日で満開の状態に急変した』

どうやら場所は朝比奈さんが俺に未来人である事を明かしたあの並木道のようだ。

ハルヒにはまだ耳に入っていないようなので安心だが・・・
いつこの事実が耳にはいるか心配だ。
俺はとりあえず見られないように新聞をバックにねじこんだ。

「はぁ? 大貧民はあんたじゃない!」

「何?」

俺は参加していないだろうが!

「これ見てみなさいよ」

「なんだ」

ハルヒの座っている席は俺の前で、上から除いてみると。

「これよ、これ」

ハルヒの膝の上には裏むきになった数枚のカードが。

「皆が出したカードか?」

ハルヒが頭をぐるっと上にあげ、俺を見上げる状態になるが、

「うおいっ!!」

「なっ、ちょっ! あんた!」

顔と顔の距離が十数センチに迫っていた。
目の前に、ほんの少し近付けば接触するぐらいの距離にハルヒが・・・

「お二人とも熱いねぇ!!」
「キョンくん・・・」

俺もハルヒも数秒硬直してしまった。
見た限りでは、ハルヒは頬を染めて瞳が落ち着かず震えていた。

「キョンくーんっ!そんな目で女性見たらイチコロだにょろ!」

俺がどんな目をしてるか聞きたいところだが・・・

「このエロキョン!! まさかあんた、あたしを見て変な事を妄想してたんじゃないで
しょうね?」

先程のハルヒの表情は完全に消え失せて怒りに満ちている睨みつけを放ってくる。

「んな事するかよ馬鹿野郎」

「あ・・・そぅ・・・」

「あーあ、キョンくんハルにゃんを悲しませちゃった」

「へ?」

「キョンくん・・・ 少しは凉宮さんにも正直になってください・・・」

「・・・その通り。 お互い同じ体質だから反発しあう。 磁石と同じ」

男には乙女心はわからないんだよ・・・

ハルヒはそっぽを向いてしまい、他の女性三人は俺に目をやってからすぐにハルヒに変え
る。

「で、このカードはなんだ?」

「あんたのよ」

「俺はやって無いだろ?」

「やらないなんて聞いた覚え無いわよ?」

次は距離を取ってハルヒは振り返った。

「確に言っては無いけど雰囲気的にはやらない感じだったろ!」 

ふふんっ、と鼻で笑いニヤけたハルヒは人差し指を立てて俺につき向け。

「負けは負けよ! あたしの命令にちゃんと従いなさいよ?」

「古泉はどうなる? こいつも言ってなかったろ?」

「古泉君からはちゃんと聞いたわよ」

「お前は俺に天気予報見ろって仕事あたえたじゃいかよ」

「あら? これを負け犬のとお吠えって言うのかしら?」

口でハルヒに勝てるわけが無いことぐらい理解はしてるさ。
しかしハルヒの命令に従うのは体力面にも精神力面にもハードだ。
無駄に疲れるのは人間だれしも嫌うだろう?
俺も同じだ。











=============================

「綺麗ですねぇ・・・」

一面銀世界なスキー会場。
俺たちの住んでる場所じやあこんなに綺麗な風景は見れないから感動だよな。
朝比奈さんは風景に絶句し、長門はいつも通り。
ハルヒは・・・

「さぁ滑るわよ!!」

あまり風景には興味が無いようだ。

「なぁハルヒ? 俺さ、ホテルで休んでていいか?」

「はぁ? 何? 不調?」

「不調・・・かな・・・」

体はビンビンに元気だがな。

「嘘ね。 さぁ皆! レースよ!」

バレたか・・・
ただな、俺・・・  スキーの滑り方忘れてしまった。

「このライン上に皆並んで!」

「了解っさぁ!」
「・・・」
「レースですか。名案ですね、さすが凉宮さん」
「あ、あのぉ・・・ 私スキー出来ないんですけど・・・」
「みくるちゃん、やらないと一人ぼっちになっちゃうわよ?」
「それはダメです・・・」
「別に俺は一人でいいからここにいるな」
「却下! キョン、これは命令よ」

やはりハルヒから逃れることは人生全てを使っても不可能なのかもしれない。
仕方ないのでハルヒがひいた線上に俺も並んだ。

「よーい、ドン!!!」

スタートダッシュが物凄い早い長門は一気に進んだ。
次にハルヒ、鶴屋さん、古泉、朝比奈さんの順だ。

俺はスタート地点から動いていない。
スタートしたらどの方向に行くかわからないからな。

だが突然襲ってくる虚しさ、寂しさ。

なんせここは鶴屋家の敷地。
俺たち以外は誰もいないのだ。

「あぁクソッ!!!」

いきおいよく飛び出して自分で驚く。

一気に朝比奈さんを抜き古泉と並んだ。

「古泉! 助けろおぉぉ!!」

一気に古泉を抜かし鶴屋さんが間近に見えた。
これは早すぎてプロにも通用しそうなぐらいだな。
その変わりブレーキとカーブがかからないがな。

「キョンくんめがっさ速いね!」

速すぎて鶴屋さんの声が二割ほどしか聞こえなかった。
理論的にありえない速さの俺。

最大のピンチが訪れた。

「ハルヒ! そこ退いてくれ!!」

俺の進行方向の一直線上には少しずつ近付いてくるハルヒ。
カーブ出来ないのでハルヒに避けてもらうしかない。
それが出来ないならば直撃だ。

「キョン!? 意外と速いじゃないの。 でもあたしは抜かせないわよ!」

こちらを見てないからそんな余裕な発言が出来るんだよ・・・
ハルヒの声はしっかり聞こえた。
なんせ目の前にいるしな。


「ズガガガガガガッッッ !!」

今までに感じたことのない衝撃が体に与えられた。

「ってキョン!!」

俺は緊急回避を行いハルヒとの直撃から逃れた。
その代わりに俺は視界の向きが定まらなかった。

「・・・ョン・・!! 大丈・・・!!」

次第に遠くなるハルヒの声。
それと同時に俺の気も遠くなってゆく。


















==============================

「ったぁ・・・・」

気は飛ばなかったが相当な痛みを感じた。
どちらかと言えば気を失ってもらった方がありがたかったかもしれない。

何処まで転がってきたのかは、わからない。
周りは何故か竹林で暴雪状態だ。
凍てつく風は皮膚を麻痺らせて感覚すら忘れそうだ。
体は動かない。 多分骨が数本折れちまってるな。
このまま凍死するのは嫌だな。
どうせ死ぬならばもう少しぐらい静かにベットの上で死にたい。
他人が羨むぐらいに飛びっきりの女性と結婚して、子供作って・・・
そして最後は家族に囲まれて人生を終える。
どうせならばそうしたかった。


楽しかったな、これまでの人生。
特に高校に入ってからだよな、ハルヒに振り回されて・・・

「キョーンー!!!」

遠くから聞こえる声。
その声は100%俺を呼んでいる。

「キョーーンッ!!」

この声はハルヒか?
声を出そうにも出ない。

「キョーン! いるなら返事しなさいよー!!」

しかしハルヒは次第に近付いている。

「ってキョン。 いるなら返事ぐらいしなさいよ」

微かに視界に入るハルヒの姿。

「なんとか言いなさいよ」

どう頑張っても声が出ないんだよ。
何故かは知らないがな・・・

「喋れないの?」

首を少しだけ上下することが出来た。

「無理しなくていいわよ。 肩貸してあげるから立ちなさいよ」

少しはいいところがあるじゃないか。
さすが団長だな。

「重っ・・・ あんた服とか全部脱いだらどう?」

「お前は変態か・・・」

「あら、声出るじゃない」

立ったら急に声が出るようになったな・・・

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